2014年12月28日日曜日

puffin

puffin は Python による awk の置き換えを狙ったユーティリティーである。 Python 好きと言いながらコマンドラインの細かい作業はどうしても awk を使ってしまう自分にとってなかなか魅力的な謳い文句ではないか。

サイトの最初の例では awk '{s+=$1} END {print s}'puf 'sum(cols[0])' と書ける、と。 cols[0] が $1 相当で、自動的に全行に亘る処理になるようだ。 まあ少し動きが読みにくいが便利かもしれない。

だがしかし待って欲しい。 awk の良さの半分ぐらいは grep に計算能力が付いたところ、つまり正規表現によるフィルタリング+処理という組み合わせにある。 残念ながら puffin には正規表現リテラルはないようだ。 確かに自動インポートがあって、いきなり re.match などと書けるが、さすがにまどろっこしい。 たとえば、数字の行を2倍して出力したいとき、awk なら awk '/^[0-9]+$/ {print 2 * $0}' で済むのに puf '[2 * int(line) for line in lines if re.match("\d+$", line)]' と書くしかなさそうだ。

今後に期待。

ちなみに名前の puffin は海鳥の名前で、「プログラミング言語AWK」のイラストなどに登場するオオウミガラス(絶滅種)と同じウミスズメ科に属する。

2014年10月13日月曜日

Saga Days 63

日本で開催される3回目の Sage Days である Sage Days 63 が信州大で開催されたのに参加してきた。 去年より少し参加者が少なかったような印象。 台風のせいかもしれない。

2日目の今日は「Sage と NZMATH」というタイトルで、NZMATH の紹介のようなものを話した。 NZMATH の話をするのも久しぶりだし、人前で話すこと自体も久しぶりだった。 1時間の枠をもらっていたが、50分ぐらいで終わってしまった。 こういう話の尺を調整する能力は簡単に鈍ってしまうようだ。

大型の台風19号の接近中のため午後のディスカッションタイムはなくなって足早に松本を後にした。 そういえばお土産も買い忘れた。

2014年8月30日土曜日

ホットロード

映画「ホットロード」を見に行った。

映画を映画館で見たのは十数年ぶりだと思う。 それぐらい映画は普段見ないのだが、紡木たくのファンとして見ておこうと思ったのだ。

全体的な印象として、原作に忠実な作りではあると思う。 セリフはほとんど変えていないし、春山との出会いのシーンとか和希の家のインテリアとか。 もちろん2時間しかないから、学校のシーンがほとんどなかったので、個人的にこの作品で一番印象的なシーンである目の前の同級生の話を聞きながらその背後でいじめられている男の子を見て怒鳴るシーンなどは当然のように無くなっていた。 暴走族の後輩のエピソードとか、リチャードの言葉に振り回されるエピソードとか、考えてみたら中盤だいぶ端折ってるか。

気になったのは、時々無用と思える湘南の風景が挿入されることとか、男たちがあまりに綺麗にヒゲを剃っていること(春山が意識を取り戻す前に、いったいいつヒゲを剃った?)とか。 まあ、恋愛ファンタジーなので、仕方ないと思うことにしよう。

最終的な感想としては、能年玲奈クソ可愛い!

2014年6月14日土曜日

竹取物語

日本最古の物語といわれる古典。 昼食時にときどき馬鹿話のネタになっているのだが、はじまりは映画の「かぐや姫の物語」の話をしていたときに、
「でも、あれって不死の薬を捨てに行った山だから『富士山』と呼ばれるようになったっていうのが大オチだよね」
「だれが?」
「おじいさんとおばあさん?」
と曖昧な記憶のまま話をしてしまったところからだった。 考えてみれば、おじいさんとおばあさんは薬も飲まずに臥せってしまったような記憶もあり、都から富士山まで旅するおじいさんおばあさんというのも不自然なのだった。

というわけで改めて読み直す。 というか断片的にではなく読み通すのは初めてかも。

1冊目: 原文 竹取物語 [kindle]
原文とあるが、やたら漢字に直してあって振り仮名もないため、非常に読みにくい。 「婚ふ」が「あう」と読むなんて、まず判らない。 踊り字も奇妙な感じに変換されて、まあお勧めはできない。

2冊目: 和田万吉「竹取物語」 [kindle]
これは青空文庫に収められているものなので、kindle でなくても読める。 ただし、これは現代語訳のダイジェスト。 せっかく燕の巣に上った努力もかいなく終わった、という冗談が通じなくて竹取物語を読んだと言えるだろうか。 まあ、昔話としてのかぐや姫の話を知りたいだけならこれでもいい。 

3冊目: 現代語訳 竹取物語・伊勢物語
結局紙の本を手にとってしまった。 現代語部分も参照しつつ、本文を読む。 1冊目の「婚ふ」となっていた部分は「あふ」と仮名書きになっていて、だいたい思った通りの原文。

最後に、本ではないが、古本 竹取物語 〈新井信之旧蔵『竹取物語』校訂本文〉 というのが Google 検索で上位にあって、ちょっと違う本文を目にすることができる。

というような何個かを読んで、5人の求婚者の後に帝に言い寄られる部分があるのを認識したし、その中で影のようになって帝から身を躱すという特殊能力を発揮していることも知った。 おじいさんの年齢が、かぐや姫に結婚をせっつくときは70歳と自称していたのに、それから20年養育していたと主張する(そんなに時間が経っている計算にはならないように思うが)別れの場面では50歳ぐらいなのに老けて見えたと書かれていて全く一貫性がないのが、地味に気になる。 そして、かぐや姫が不死の薬を渡した相手は帝で(おじいさんおばあさんには舐めかけを渡そうとして阻止されたのに、帝には壺ごと取り次いでもらえるのはどういう訳だろう)、捨てに行ったのは帝の遣いと兵士たちだった。

不死の薬を焼いた煙が立ちのぼっているという記述は富士山が噴火していることを表現したものだったのだろうか。

2014年3月23日日曜日

iPad Air

簡単なまとめ: 反射しすぎ。

電子書籍を読むための端末として iPad Air retina を買ってみた。 とりあえず何冊分かある pdf の書籍を読んでみることにした。 文字が綺麗に見えることだけは素晴らしいのだが…

電源を投入したら眩しかったので、画面の明るさを暗くしてみた。 反射光が気になってとても読めない。 ノングレアタイプの液晶保護フィルムを貼っていたが、せいぜい自分の顔の反射が見えなくなるぐらいで、映り込む光源には無力。

仕方が無いので、反射光を誤魔化すために画面の明るさを自動調節にした。 でもまあ、眩しすぎるんだよね。 最初に電源投入したときに感じたように。

そうだサングラスを掛けよう。 と眼鏡屋に行って試したものの、暗くなると結局反射光が気に障るようになってしまう。

そうだ反射させなければいいのだ。 カバーを利用しているので、それとの角度をπ/3ぐらいに抑えて、覗き込むようにして見れば反射光は気にならない。 が、斜めに覗き込むと、左右の目で焦点距離をずらすような芸当は無理なので、自然と片目で読むことになる。 ぶっちゃけ目が疲れる。

ということで、今のところ、どうすればいいのか全然判らない。 凄く限定された光源の下で辛うじて読めるなどということでは、持ち歩いて外で読めないので無意味なのである。 だれか良いアイディアはないですか。

2014年3月6日木曜日

イリアス

ホメロスの「イリアス」と言えば古代ギリシアの古典なので読んだことがある人もいるかもしれない。 私は最近になって初めて手に取った。 理由はトロヤ群小惑星の名前を理解したかったから、という脇道からなのだが、この理由の方がよほど解説が必要そうなのでしておこう。

トロヤ群小惑星とは木星のラグランジュ点L4とL5の近辺に位置する小惑星群のことである。 この小惑星群の命名規則としてL4の方がトロイ戦争におけるギリシア方、L5がトロイ方の名前を付けることになっているのだが、一部混乱があってパトロクロスは、ギリシア側とトロイ側のルールが決まる前に命名されたため、L5の位置にあるにも関わらず、ギリシア側の名前がついている。他に、ヘクトルもL4の位置にあるにも関わらず、トロイ側の名前がついている(Wikipedia日本語版 木星のトロヤ群)。 この説明を見て、パトロクロスとヘクトルって誰? と思って「イリアス」を読み始めたのである。

あらすじ(古典だからネタバレとか気にしない)はこんな感じ: トロイ戦争が始まって9年のある日、ギリシア方の総大将アガメムノンとアキレウスが戦利品たる女を巡って仲違いをする。 というかアキレウスがへそを曲げて戦場に出てこなくなる。 そのため当初ギリシア方が優勢に進めていた戦闘が次第にトロイ方に押されてくる。 この状況を何とかしようとアキレウスの親友パトロクロスはアキレウスの鎧を身に帯びて戦場に出るが、戦死してしまう。 アキレウスはようやく戦場に出るとトロイの大将ヘクトル(戦争の原因を作ったパリスの兄)を討ち、親友の仇を取る。

この話の切り取り方一つとっても絶妙である。 長いトロイ戦争を語るわけでもなく、その決着の有名な木馬の話をするでもなく、10年続くトロイ戦争の9年目の2,3週間のできごとを描く。 英雄アキレウスの自分勝手とも思えるサボタージュとその戦闘への影響が読者(というか聞き手か)をハラハラさせるし、 結局はアキレウスが仇を取って溜飲を下げさせてくれるし、 古典として生き残るだけのことはあると感心した。

ということで未読の方は是非。
ホメロス「イリアス」岩波文庫

2014年2月17日月曜日

Mavericks でも Gentoo Prefix

MacBook Air の OS を Snow Leopard(10.6) から Mavericks(10.9) に上げた。 Snow Leopard 時代の Gentoo prefix も何やらそのまま動いてはいるようだが、一応 bootstrap し直した。

引っかかった箇所は Bug 491098 - sys-devel/gcc-apple-4.2.1_p5666-r1: compile failed for redefinition of a 'extern inline' function で、そこにあるパッチに倣って bootstrap-prefix.sh を少し編集する必要があった。 数日前の readline の問題はもう直されていたので今回は何事も無し。

これから旧prefix環境の world ファイルを引っ張ってきて、emerge world を仕掛ける予定。

2014年2月15日土曜日

enable_hostname_completion

Gentoo prefix のブートストラップ stage3 で bash のコンパイルに失敗していた。

gcc -m32 -L./builtins -L./lib/readline -L./lib/readline -L./lib/glob -L./lib/tilde  -L./lib/sh -Wl,-search_paths_first -L/Users/tetsushi/G2/usr/lib -L/Users/tetsushi/G2/lib -L/Users/tetsushi/G2/tmp/usr/lib    -march=nocona -o bash shell.o eval.o y.tab.o general.o make_cmd.o print_cmd.o  dispose_cmd.o execute_cmd.o variables.o copy_cmd.o error.o expr.o flags.o jobs.o subst.o hashcmd.o hashlib.o mailcheck.o trap.o input.o unwind_prot.o pathexp.o sig.o test.o version.o alias.o array.o arrayfunc.o assoc.o braces.o bracecomp.o bashhist.o bashline.o  list.o stringlib.o locale.o findcmd.o redir.o pcomplete.o pcomplib.o syntax.o xmalloc.o  -lbuiltins -lglob -lsh    -ltilde   -liconv  -ldlUndefined symbols for architecture i386:
  "_enable_hostname_completion", referenced from:
     _shopt_enable_hostname_completion in libbuiltins.a(shopt.o)
ld: symbol(s) not found for architecture i386
collect2: ld returned 1 exit status
Makefile:537: recipe for target 'bash' failed
make: *** [bash] Error 1

readline を無効にすると (OS X 10.6 上では少なくとも) bash がコンパイルできないらしい。

2014年1月4日土曜日

2013年の読書

読んだ本は読書メーターに記録しているのだが、mftさんの2013年の読書メーターまとめ を見てもさっぱりなので、ちょっと書いておく。 2013年に読んだ本で印象に残っているものベストスリー。

1位 黒川信重・小山信也「ABC予想入門」PHPサイエンス・ワールド新書。 転職した4月に読んで、このブログにも関係する記事を書いたりしたので、記憶に残った。 ABC予想は強力すぎて嘘くさい予想だと思っていたが、京大数理研の望月教授が証明した(というプレプリントを公開した)という話題もあり、ある意味時事ネタ。

2位 戸部博・田村実「新しい植物分類学 III」講談社。 現実世界を追認するだけの分類学なんて何が面白いの? と昔は思っていたものだが、こういう本を読んで DNA を使った系統の推測の話なのだということが理解できると、案外面白かった。 昔習った分類とは異なり今は「コケ植物」は単系統群でないのでセン類・タイ類・ツノゴケ類の総称でしかないとか、雑然とまとめられていたユリ科はいくつかの分類群に整理されたとか、ヤナギとスミレは近縁とか、新しい知識が得られた。

3位 白浜鴎「エニデヴィ 1」エンターブレイン。 最後は絵が綺麗なドタバタマンガ。 基本的に自分のマンガの好みは絵が綺麗なことと楽しいことに尽きるのではないかと思う。

これら以外に読んでいたのはIT系とか地学系が多かったが、2014年は何を読むことになるだろうか。

※リンクはamazonアフィリエイトです。

2014年1月1日水曜日

2014年

本年もよろしくお付き合いのほどを願います。

何を書こうかと思ったけど、使っているブログサービスその他をちょっとまとめておくことにする。

まずは、ここ blogger、Midnight Floating Thought。 数学のノートを読み返して発掘するネタはもう(早くも)尽きたので、わりと日常の雑然としたことを書いていく予定。

会社で全員ブログを書くことになっていて、 ∀Programmer ∃Python というところで、主に業務に関係あるようなないようなことを時々書いている。

twitter。 @mf2t がメインのアカウント。 @matsuitetsushi は nzmath のコミット情報とかを流している(英語)アカウント。 コミットが途絶えているから本当に休眠しているようにしか見えない。 @public_errata は後述の正誤表サイトの情報を流すアカウント。

tumblr、Memorandum for Trivia。 Google+、Tetsushi MATSUI。 自分にとっては結局 iPhone で写真を撮った後どちらが投稿しやすいかぐらいの違いで、使い分けはあまりない。 最近は Google+ が若干優勢のよう。

その他、Google App Engine でみんなで正誤表という正誤表サイトを公開している。 作り変えたい気はあるんだけど、まあ、その内に。

といった雑然とした文章が今年も続くと思いますが、気が向いたときに読んでもらえれば。

書き忘れがあったので追記。 lowlife.jp に置かせてもらっていたブログ Floating Log は消滅した。 散文指向の雑多な集成はまだある。